〒343-8555 埼玉県越谷市南越谷2-1-50
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研修内容とサブスペシャリティー

国内・海外問わず研修が可能です

獨協医科大学埼玉医療センター麻酔科は、各分野にエキスパートを配置しております。研修はペインクリニック、気道管理、心臓麻酔、小児麻酔、産科麻酔、区域麻酔と幅広く学ぶことができ、一般社団法人日本専門医機構の専門医を取得可能です。
また、より研修を充実したい場合は、希望出向制度を利用し、国内、海外問わず研修が可能です。

1, ペインクリニック部門(奥田泰久教授)

  • ペインクリニック外来では急性および慢性疼痛疾患を中心に、眼瞼痙攣、顔面痙攣、吃逆(しゃっくり)、顔面神経麻痺、突発性難聴、末梢血管障害(バージャー病等)などの神経ブロックの適応になる非疼痛疾患すべてを対象として診療しています。具体的には、頭部や顔の痛み(三叉神経痛、非定型顔面痛)、頸上肢の痛み(頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア)肩の痛み(肩関節周囲炎、五十肩)、腰下肢の痛み(腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛)、頭部から下肢の部分的な痛み(帯状疱疹後神経痛、筋・筋膜性疼痛)などの多岐にわたる疼痛疾患を主に治療しています。奥田教授を中心に2~4名の医師で火曜日、木曜日、土曜日の午前中に診察を行っています。治療手段は超音波ガイド下神経ブロック、薬物療法、レーザー、イオントフォレーシス、漢方などを適宜患者さまの病態に応じて治療を行なっています。治療内容は、神経ブロックが主体で星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、透視下腕神経叢ブロックと神経根ブロックとトリガーポイント注射、ボトックス注射、上顎神経ブロック、下顎神経ブロック、腰部交感神経節ブロックなどを行なっています。神経破壊薬を使用する神経ブロックは原則として入院して対応しています。
  • 埼玉県の人口増加に伴い、ペインクリニックの需要は多く、当教室では数多くの症例を経験することができます。また日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医といった資格を取得することが可能です。また過去に日本のペインクリックの中心であるNTT東日本関東病院ペインクリニック科へ希望出向の実績があります。当院は麻酔科に所属しながらペインクリニックを学べる点も特色の一つだと思います。ぜひご興味のある方は見学にいらしてください。
奥田泰久(教授)

2, 気道管理部門(浅井隆教授、齋藤朋之講師)

  • 麻酔管理に気道確保の技術、知識は必須です。気道確保が困難な場合に生じる合併症が、麻酔に関連しておこる死亡、および不可逆的脳損傷の最大要因であることが1990年代初頭に明らかになり、より有効な気道確保器具の開発、気道確保ガイドラインの策定が行われました。しかしながら近年施行された大規模研究により、気道確保困難が原因となる合併症は、今なお麻酔に関連する死亡および不可逆的合併症の最大要因であることが判明しています。
  • 当教室では、気道管理の安全性向上のため、毎朝の症例カンファレンスで、困難気道の予測される症例を全員で協議し、気道確保の方法を全症例検討しています。また全身麻酔が行われる全ての手術室にビデオ喉頭鏡を配置し、CICV(換気困難、挿管困難)の非常事態に備え、Emergency callによる応援要請、DAM (Difficult airway management) 対策を徹底しています。困難気道や酸素化の維持が困難な症例においては、意識下挿管の施行や体外循環装置 (ECMO、PCPS) のバックアップを外科医と連携し行っています。また麻酔からの覚醒、抜管時には、必ず麻酔科専門医を配置しており、抜管後の危機管理に備えています。
  • 研究面では数多くの気道管理に関する学会発表、論文作成を行ってきています。いくつかの論文は、海外の一流誌 (British Journal of Anaesthesia、Anesthesiologyなど) にも掲載されております。現在、大学院生を中心に気道管理に関する研究を継続して行っております。国立シンガポール大学への海外留学(気道管理の研究など)も希望があれば可能です。臨床、研究のバランスの整った体制が整備されています。是非麻酔科に必須の気道管理を学びたい方は、見学にお越しください。
浅井隆(教授) 齋藤朋之(講師)

3, 心臓血管麻酔部門(新井丈郎教授、鈴木博明講師)

  • 当麻酔科は、心臓血管麻酔認定施設で年間約300~350例の成人心臓血管外科手術の麻酔管理をおこなっています。(虚血性心疾患手術43例、弁膜症手術59例、胸部大動脈手術37例、その他の開心術5例、胸部ステントグラフト内挿術14例、腹部ステントグラフト内挿術37例、腹部大動脈手術18例、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)46例、経カテーテル僧帽弁形成術(Mitral Clip)5例,末梢動脈手術50例、その他52例、2020年度、重複なし)。2017年11月に新棟が完成し、手術室の増加や心臓血管外科手術件数の増加により、多くの心臓血管外科症例の麻酔管理を経験できるようになりました。また、ハイブリット手術室も新設され、2018年5月よりTAVIが実施可能となり、その後にMitral Clipも導入され、先進低侵襲心臓手術の麻酔管理を経験することも可能です。
  • 心臓手術では、主に心臓血管麻酔専門医を含む上級医と日本麻酔科学会専門医取得前の麻酔科医の2人体制で麻酔管理をしています。そのため、術前評価、麻酔計画、経食道心エコーを含む各種モニターの評価方法、循環作動薬の使用方法、血液凝固、人工心肺の原理などを上級医と一緒にディスカッションしながら学ぶことが可能です。また「鉄は熱いうちに打て」をモットーに、麻酔科入局直後のレジデントのうちから主麻酔として心臓麻酔を経験してもらい、心臓麻酔の面白さや麻酔科医として必要な循環呼吸管理の考え方など心臓麻酔を通して学ぶ事ができます。また、心臓血管麻酔専門医2名、日本周術期経食道心エコー認定医5名が在籍しているため、サブスペシャリティとして心臓血管麻酔専門医や日本周術期経食道心エコー認定医を目指す方にも指導できる体制は整っていると考えます。
  • 心臓麻酔のイメージとして「心臓外科医が怖くて会話しづらい」、「術中何か起こったらどうしよう」、「術野から何かわからないことを聞かれたらどうしよう」といった不安などがあるかもしれません。しかし当院では、心臓外科医やコメディカルスタッフとの関係も非常に良好で、周術期のトラブルなども1つのチームとして解決する関係があります。患者ファーストのチーム医療をストレスの少ない環境で心臓麻酔を経験することが可能です。
  • 上記のような環境の中でハートチームの一員として一緒に心臓麻酔を学びましょう。少しでも興味を持っていただけたなら、一度見学に来てください。
新井丈郎(教授) 鈴木博明(講師)

4, 産科麻酔部門(橋本雄一講師)

  • 2009年度に、埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科の照井先生の元で、約半年間勉強させて頂きました。出産は産科の先生ばかりでなく、麻酔科医や、小児科医、病棟スタッフに至るまで、全員がチームとなり、関わっていくものであると教えて頂きました。また、患者様の合併症に合わせた、出産方法や麻酔方法を考えなくてはならず、非常に奥深く、専門的な部分が大きい領域であると感じました。出産は、お母さんとお子さんが初めて対面する場面です。帝王切開術の麻酔や無痛分娩では、麻酔科医も「おめでとう」と、声をかけてあげることができるので、大きな感動を得られます。
  • 当院の麻酔科では、帝王切開術の麻酔、年間数例ですが、妊娠中の非産科的麻酔を経験する事が出来ます。麻酔専門医を取得するために、帝王切開術の麻酔は必須となっています。当院の研修のみでも、麻酔専門医に必要な症例数は取得可能です。帝王切開術の件数は、年間113件(2018年度)と、周産期センターや他の大学病院と比較すると、決して多くないと思いますが、昨年NICUが新設されたため、今後は件数の増加や、ハイリスク分娩を取り扱う機会が増えると思われます。
  • 当院では現在のところ、無痛分娩の取り扱いや、産科麻酔外来などがなく、麻酔科医や看護師などのスタッフが不足しています。産科麻酔のサブスペシャリティーを育てるという部分には行きついておりません。しかし、地域の患者様のニーズに応えるには、今後必要な部分だと思っております。
  • 当院では、小児、ペイン、救急など、多方面へ学外派遣を行っております。希望があれば、産科麻酔への研修も可能です。新たに、産科麻酔に興味を持ってくれる麻酔科の先生が増えてくれることを強く望んでいます。
橋本雄一(講師)

5, 区域麻酔(齊間俊介講師)

  • 周術期管理における区域麻酔は、術中の鎮痛効果のみでなく、術後鎮痛や早期離床に大きく貢献します。近年、光学機器の進歩により、超音波を用いた診療が広く普及されています。また周術期管理において抗凝固療法を必要とすることや、稀ではありますが硬膜外血腫などの重篤な合併症が起こりうることがあります。そこで、整形外科などの四肢の手術では、硬膜外麻酔に代わり超音波ガイド下末梢神経ブロックの有用性が高まっています。特に下肢の手術に関しては、硬膜外麻酔と比較して鎮痛効果は同等で重篤な合併症は少なく、術後離床を促進し、早期退院を可能にするなどの利点も多く認められます。近年の超音波ガイド下神経ブロックの導入、普及により従来のランドマーク法や神経刺激法と比較しブロックの手技は平易化していますが、それでも日常からのトレーニングは必要です。
  • 当教室は、超音波ガイド下末梢神経ブロックの第一人者の島根大学付属病院麻酔科の佐倉伸一教授のもとへの出向実績があります。そこで習得したスタッフが親身になり、整形外科を含むいくつかの手術においてレジデントを中心に教育しております。症例は上肢に比べ、下肢が多く、TKA、THAからACL損傷などの鏡視下手術などと多岐にわたり、一回注入法のブロックからカテーテル挿入による持続注入法を行っています。
  •  周術期の神経ブロックを中心とした区域麻酔に興味のある先生がおりましたら、ぜひ当施設で一緒に勉強しませんか。お待ちしております。
齊間俊介(講師)

6, 小児麻酔部門(鈴木博明講師)

  • 当麻酔科は、年間約750~800件の小児手術の術中麻酔管理を行なっております (小児外科、小児形成外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科など)。当院での小児症例は、他の多くの病院と同様に鼠経ヘルニアや停留精巣などの小手術症例が大半を占めます。当院には小児心臓外科がないため、先天性心疾患手術の麻酔管理を経験することができませんが、新生児症例や胸部・腹部手術症例など高度な麻酔管理を必要とする症例を経験することは可能です。
  • 当院での小児麻酔は、基本的に1症例2人で担当し、安全かつ苦痛・疼痛の少ない、また子供達の心身の発達が損なわれないような麻酔管理を心がけて日々工夫をしています。また、国内小児病院への留学者が数名在籍しています。そのような指導者とともに、小児手術に対する術前評価、麻酔計画、薬物使用方法、小児循環呼吸管理法、区域麻酔法などをディスカッションしながら学ぶことが可能です。サブスペシャリティとして小児麻酔を目指す方にも適切に指導していきます。小児麻酔認定医申請資格条件である6歳未満の小児麻酔50例以上(月齢6か月未満の乳児10件以上を含む)を経験することも可能です。当麻酔科で小児麻酔を経験して、さらに様々な小児麻酔症例を経験したい、小児麻酔を極めたいという場合や先天性心疾患の麻酔管理も経験してみたいという場合は、小児病院への国内留学や紹介も可能です。
  • 上記のような環境で小児麻酔を一緒に学びませんか。当院には、小児病院ほどの特殊性や専門性はありませんが、新生児から成人までさまざまな年代の症例があるため、麻酔においても「こどもは小さな大人ではない」をより実感できると思います。
鈴木博明(講師)